「楽しい外遊び生活のためにその2」連載第23回 浜ちゃん

 

これまでのあらすじ
 十勝でのアウトドアを愛してやまない、「浜ちゃん」を中心とする「虎の穴」の面 々。今回は夏の間、精一杯遊びにつきあってくれたカヌーのメンテナンス。やむなく「沈」して壊れたカヌー。心を込めて直します。(前回の連載はこちらです)


●材料道具

●骨抜きカヌーです。

●名誉の負傷その1

●名誉の負傷その2

●ヤスリがけ

●共布を切ります。

●角を落とし

●ホワイトガソリンで


●接着面を清掃


●ボンドを両面に塗り

●少し乾かして接着

●ゴムハンマーでたたいて圧着

●出来上がりー
「おまえはトラだ!トラになるんだ!!」
“虎の穴とは如何なる組織ぞ”――十勝のいたる所に巣食っている秘密?組織、外遊びに興味のある優れた素質の老若男女を日本中から集めて徹底的に遊ぶ。終了後は「大宴会」。大トラのように救いようのない、無敵の酔っぱらいを作り出す…誰いうとなく、「虎の穴!」。
  今回の話題は「楽しい外遊び生活のために」の続き。今年もお世話になった夏の外遊び道具たち、今シーズンも無事楽しませてくれたことに感謝しつつ、来シーズンに向け掃除と補修。数ある道具の中から、カヌーのメンテをご紹介しましょう。

 いゃー時の経つのは早いもので、あっという間に12月ですねー。今シーズンも山へ川へと、よく遊びに行きました。シーズンごとに道具に被害が出ますが、今回最大の被害は、「カヌーの船底に穴を開けた」ことでしょう。
 はなしは、7月までさかのぼる…。虎の穴カヌー部隊は天塩川カヌーツーリング大会に出場すべく「天塩川特別 攻撃艦隊」を編成し、1泊2日65キロにエントリーした。瀬が少なく瀞(とろ)場ばかりの天塩川を泣きながら漕ぎ下る。忘れた頃にやってくる瀬には大会スタッフが安全コースの誘導を行っているので、難なくクリアー。そんな緊張感ない川下りには、落とし穴があった…。
 「1日目のゴール直前に難度の高い瀬がある」という情報は、スタート時に聞いていた。最後の瀬に近づくと、手前で大会スタッフが、「瀬がありまーす、右岸によってくださーい」と叫んでいる。「おおっ、やっとゴールか……」などと安心しつつ、右岸へ船を寄せる。前方を行く船が瀬に入るのが見えた。入ったとたん視界から消えた…「わははっ、沈したなー、未熟者めっ」。続いて瀬に入った船も消えた。「おおっー、連続沈!! いいぞーいいぞー、どんどん沈しなさい、そして、みんなを喜ばせなさい」。などと言っているうちに、我々も瀬のすぐ手前まで来た。メンバーの船が瀬に突入。一瞬視界から消えて、少し先から現れた。んっ?? まさか…落ち込み???
 「落ち込み」とは、川の段差のことです。筆者が乗っていたカヌーは「ファルトボート」と呼ばれる折りたたみカヌーで、船体は厚手のビニール、骨組みはアルミパイプ…。
 落ち込んだ先の水深が深ければ問題はないのですが、もし浅かったら「船体が破れる+骨が曲がる=沈」。あわてて岸に着けようとしましたが、時すでに遅く瀬が目の前、「えーい、つっこめーっ!!」。落ち込みの先が深いことを祈りつつ、流れにのりつつ思いっきりパドルを入れる。落ち込みまで来ると「うっ、浅いっ!、その上コンクリートの段差だっ!!」「南無さんっ!!」と、叫びつつ突入…「ゴリッ」という鈍い音と共に船が右に急傾斜。「傾斜復元っ! 船体起こせっ!!」などと言ったかどうかは覚えていないが、ローブレイス(体勢を立て直すパドルさばきのこと)を入れて沈は免れる。が、しかし…艇内に浸水が始まる。「破れたか…」。徐々に艇内の水位 が上がっていく、ゴールは目の前に見えている。水が入ってくる分、船が重くなりパドリングがどんどんきつくなってくる。おーっ、このままでは「急速潜行バラストタンク注水!」状態。必死にゴール目指して漕ぐ、重たいけど漕ぐ、何でも良いから漕ぐ…と、「ひたすら漕ぐの人」と化して、何とか「沈」もせずゴール地点に船を引き上げることが出来た。水を抜き船体を確認すると、見事に船底部分が裂けていた…。
 先延ばしにしていた修理作業、遊びほうけていたら、雪が降ってしまいました(汗)。11月末、作業場所を求めて行き着くところはただ一つ、昨年カヌー作りでお世話になった「北芽室の電脳農家ポテトチップさん」の所。懐かしのビニールハウスへ、道具を持ち込んだのであります。
 
 このファルトボート、筆者と共に荒波を超えてきた猛者で、船齢10年を超えている。船体も、骨も修理だらけである。修理痕一つ一つに色々な川の思い出が…今でも見るたびに情景が浮かんでくる。今シーズンは、今までにない深手を負ってしまったが、修理すれば、まだまだ現役でいける。ファルトボートがハシリの頃の船なので、今のモノに比べてかなり頑丈にできている。良いものは、長く使えるのです。
 早速、修理に取りかかりましょう。
 まずは、今シーズンも「無事川下りできたこと」に感謝し、カヌーに敬礼っ!
 続いて、道具を引っ張り出す。
1.船体布 共布
2.紙ヤスリ
3.ボンド
4.はさみ
5.ゴムハンマー
6.ホワイトガソリン
7.雑巾
 以上7点。
 作業にはいります。
1.破損箇所捜索
 まずは、船体布を裏返して広げ、雑巾がけをしながら、破損箇所の確認。
 破損しやすいのは、キール(船底部)と、その他骨の当たる部分。特に座席の下がポイントである。今回発見されたのは「座席の下1カ所小破」「キール前方1カ所大破」。両箇所とも完全に破れて貫通はしていないが、被害は甚大である。
2.ヤスリがけ
 破損箇所の周りを共布を当てる大きさにヤスリがけをする。接着部分の表面をささくれ立たせ、接着剤のノリを良くします。
3.共布を切る
 破損箇所が隠れるよう少し大きめに切る。接着後剥がれにくくするために角は丸く切り取り、こちらも接着面をヤスリがけする。
4.磨き
 ヤスリくずの掃除と、船体布の油落としを兼ねて、ホワイトガソリンで接着面を拭きます。
5.接着
 船体布・共布の両方に接着剤を薄くまんべんなく塗り、手にくっつかなくなる程度に乾かします。乾いたら接着。ここで接着剤を厚く塗ったり、乾く前に貼り付けたりすると、強度が落ちるので要注意。
6.圧着
 ここでゴムハンマー登場。接着面の空気を抜き、強度を高めるためにゴムハンマーでたたきます。
 以上、修理完了。
 これで来シーズンも、楽しい川下りができます。
みなさんも「外遊び道具」ちゃんとメンテしてあげてくださいねー。


カヌー修理に便利です。
外遊び便利道具
「ゴムハンマー」
 100円ショップで見つけた、便利道具のご紹介。今月は「ゴムハンマー」。
 圧着にどうしても必要だったので、ここで購入できてラッキー。探してみるもんですね。100円ショップ侮れません。

 

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