「ダッチオーブン登場」連載第21回 浜ちゃん

 

これまでのあらすじ
 十勝でのアウトドアを愛してやまない、「浜ちゃん」を中心とする「虎の穴」の面 々。最近、どうもクッキングづいている彼らは、今回も意外な料理に挑戦! 鶏まるごと食べるとは〜うらやましい! これぞ、アウトドアの王道「ダッチオーブン」メニューです。(前回の連載はこちらです)


●塩・コショウ

●擦り込みます。

●ジャガイモを敷き詰め

●ニンニクを詰めた鳥を置く

●フレンチドレッシングを回しかけ

●ワインビネガーを投入

●最後にバジルと・とどめの塩コショウ

●下から攻め

●上からも…

●こんなにこんがり

●群がる人々

●指南役フランソワーズ大介氏

●指南役エリザベスともみ嬢

●現在戦闘状態



















「おまえはトラだ!トラになるんだ!!」
“虎の穴とは如何なる組織ぞ”――十勝のいたる所に巣食っている秘密?組織、外遊びに興味のある優れた素質の老若男女を日本中から集めて徹底的に遊ぶ。終了後は「大宴会」。大トラのように救いようのない、無敵の酔っぱらいを作り出す…誰いうとなく、「虎の穴!」。 今回の話題は「ダッチオーブン」。先月の「飲茶」と同じ場所「ヌプントムラウシ」からのレポートです。
 飲茶のほかに、こんな料理も併行して作っていたのであります。ふふふ。
 筆者が外遊びをはじめた20ウン年前のキャンプ道具といえば、「超重量 級家型借り物天幕」に「家で使っているような食器や鍋」、今のようなシングルストーブなど買えるはずもなく、もっぱらたき火か固形アルコールのコンロ…。当時も専用の素敵な道具はたくさんあったのですが、何せ貧乏生活だったのであり合わせの物で間に合わせて「橋の下のおじさん的アーバンジプシー生活」などをしていたのであります。
 数年後に、アウトドア雑誌の創刊ラッシュが訪れて、アウトドアグッズなどを綺麗なおねえさんや、かっこいいおにいさんが「ほら、すごいでしょう。そこいらの鍋釜とは違うのよ、うふ」とか「やっぱりコーヒーは、シェラカップで飲まないとねー」などと、世間をあおりはじめた。そんな中、貧乏キャンパー筆者は、「うーむ、キャンプはカッコじゃないぜ、そんなちゃらちゃらした物が使えるかーっ! 男は黙って、ツル付き鍋だ!!」などと負け惜しみを言いつつ、アウトドア雑誌をヨダレを垂らしながらペラペラめくっていたときに見かけた「ダッチオーブン」。その機能もすごいが金額はもっとすごかった…。
 という話をメンバーにすると、「やはり、そうでしたか。実は私も極貧キャンパーでした」とか「うーむ、なつかしいですねー」…みなさん同じような外遊び経歴のようで、昔話の花が咲きみだれた。
  「類は、友を呼ぶ」。自然に集まってきた虎の穴メンバーは、貧乏キャンパーの集まりだったのでありました。未だ、貧乏性とひがみ根性が抜けない我々、話は最近の「おしゃれなキャンプ事情」に移り始め、「最近、何でも頭文字で縮めればいいと思っているようだが、いかがなものかと…」。言われてみれば、「ダッチオーブンはDO」「バーベキューはBBQ」と、略されることが多い。「なにー、DO? 溶存酸素かっ?」「BBQ?? QBBと言うチーズなら知っていますが…」「そうか、それならジンギスカンはJGKだ!」「やきとりはYTなのかっ!」「責任者出てこいっ!」などと果 てしなく「今時雑誌飛び出し型ちゃらちゃらキャンプ批判」に突進していったのでありました。アハハ ・・・。この模様は別の機会に「覆面座談会形式」で、お伝えしましょう。

 しょうもない、おじさんのひがみ話は放っておいて、ダッチオーブンの話。こいつ、ちょいと調べてみましたが、なかなか奥が深い…。
 その名前から、「オランダのオーブン」と思いきや、開拓時代のアメリカで完成されたらしい。諸説あるようですが、「この鋳物の鍋をオランダ人が売り歩いていた」という説が有力のようです。種類も3本足のついたキャンプ用・足のないキッチン用・フライパン、魚焼きもあるとか…。長い歴史を持つダッチオーブン。その機能も完成度が高いのでありました。

○ダッチオーブンの機能
1.水封機能
 加熱されると、鍋のなかの食材の含む水分や、注いだ水が蒸気となって鍋のなかに充満し、ふたと本体との間のわずかな隙間を埋め、密封性を高める。
2.圧力機能
 本体と擦り合わされるように作られたふたは、ズッシリと重いので、水封機能がさらに高められる。そのため圧力鍋と同様、食材を短時間で芯までやわらかく調理することが出来る。

 肉厚の鋳鉄でできているため、焦げつきにくく、保温効果も高い。
 煮る、焼く、蒸す、揚げる、炒める、茹でるといったいろいろな調理方法に対応し、簡単に美味しくできる。屋外料理の「超弩級無敵鉄鍋」だったのであります。

 その無敵鉄鍋を使って、今回紹介する料理は「鳥の丸焼き」。
 今回の料理指南役は、フランソワーズ大介・エリザベスともみ夫妻。ダッチオーブンのオーナーでもあります。
 それでは、ご紹介しましょう。
●材料
・にわとり鳥 丸ごと1羽
・ジャガイモ皮付き 中10個
・ニンニク 丸ごと4個
・オリーブオイル
・バジル
・ワインビネガー
・フレンチドレッシング
・塩・コショウ

●作り方
1. ジャガイモは、よく洗って、皮を剥かずに半分に切る。
2. ニンニクは、皮を剥いて、ばらしておく。
3. 鳥の表面と、内側にたっぷり塩コショウを擦り込む。
4. 鳥の中にニンニクを詰め、爪楊枝などで閉じる。
5. 鍋にオリーブオイルを馴染ませ、底にジャガイモを敷き詰める。
6. 鳥をジャガイモの上に置く。
7. ワインビネガー・フレンチドレッシング・オリーブオイルを適量 鳥にかける。
8. 最後にバジルをたっぷりふりかけ、さらに塩コショウを少々。

 後は、火にかけて、焼き上がりを待つだけ。蓋の上にも炭をのせ上下から攻めます。文章にすると面倒くさそうですが、たいした仕込みもなくやってみると簡単なんですね…。待つこと40分、こんがり焼き上がりました。
 焼き上がった鳥の皮は、北京ダックにも劣らぬパリパリ感と香ばしさ、その肉は、ニンニクとバジルの香りをたっぷりと含みジューシーに仕上がっている。特筆すべきは、ジャガイモ。すべてのうま味を吸い込んでホクホクになっている。この脇役が、主役を張れるほどのうまさなのだ。
 焼き上がった鳥は、指南役が取り分けているそばからなくなり、ジャガイモが飛び交い、「おーーっ!」と雄叫びが上がり、あっという間に戦闘終了を迎えたのであります。旨かった…。

 先ほどまで「責任者出てこいっ!」などと騒いでいたメンバーは、ダッチオーブンの威力に感動し、「DOは、良いですねー」などと手のひらをグルグルと返し、「ダッチオーブンなんてちゃらちゃらした物が使えるかーっ! 男は黙ってツル付き鍋だ!!」と言っていた筆者は「すまなかった」と、頭を垂れつつジャガイモをつつき、パリパリの皮に感動し、ダッチオーブン支持派にまわったのであります。


使い切りの量がうれしい
外遊び便利道具
「炭」
100円ショップで見つけた便利道具のご紹介。今月は「炭」。
大量に買うと、中途半端に残ってしまい始末に困る炭。1.3kg入りの箱を100円ショップで発見しました。使い切りの量 で料理にはちょうど良いかも。100円ショップ、侮れません。

 

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