「カヌーづくりに挑戦完結編」連載第18回 浜ちゃん

 

これまでのあらすじ
  十勝でのアウトドアを愛してやまない、「浜ちゃん」を中心とする「虎の穴」の面 々。「1万円ぽっちでカヌーを作るぞ!」と今月もカヌー作り続行中。今回は最後の塗装を仕上げて、進水式が執り行われます。手作りカヌーは無事浮かぶのか!?(前回の連載はこちらです)


●まずは現場の掃除から

●塗装時はこんな服装です。

●サフェーサー

●吹きつけます

●下地完成

●内側と、赤の下地は、ピンク色

●そして、吹きつけ


●赤で仕上げます。

 「おまえはトラだ!トラになるんだ!!」
“虎の穴とは如何なる組織ぞ”――十勝のいたる所に巣食っている秘密?組織、外遊びに興味のある優れた素質の老若男女を日本中から集めて徹底的に遊ぶ。終了後は「大宴会」。大トラのように救いようのない無敵の酔っぱらいを作り出す…誰いうとなく、「虎の穴!」。今回の話題は「カヌーづくりに挑戦完結編」。連載6回目、昨年12月より作り始めて、「暖かくなってから塗装しましょう」という、地主ポテチ氏のアドバイスに従い3月下旬、塗装を残しいったんを作業終了。ゴールデンウイークを利用して塗装を始めることに…。

 ゴールデンウイーク1週間前、帯広市内の塗料店にプリティ仲野氏と、筆者が現れた。カヌー塗装用の塗料を購入するためである。「いゃーいよいよですねー」「これが終われば、やっと完成ですな」などと言いつつ店内へ…。
 お店の方に「カクカクしかじか……」と、事情を話し、塗料決定の相談にのってもらう。
「FRPを使っている部分の塗料のノリが悪い」ということで、下地の塗料「サフェーサー」を塗ってからの塗装と決定。サフェーサーを注文する。船体の色をどうするか…? 「やはりカヌーは、赤でしょう」と、プリティ仲野氏と意見は一致し、お店の方に「赤をください」というと、「どの赤にしましょう?」と、出てきたサンプルの色の豊富なこと…。あーでも無いこーでも無いと、悩んだあげく値段で決定することにした。が、しかしみなさん知ってましたか? 塗料の中で「赤色」は値段が高いって…。
 一応1万円で出来るカヌーを目指している手前、あまり高いと困るのですが、ここは奮発して、ちょっと高いけど、2人とも気に入った「赤」に決定。

●これが高かった赤

 購入後「かなり予算オーバーですねー」と後悔しつつも「長いつきあいになります、納得のいく色にした方がよいでしょう」などと自分を納得させようと理由付けをしながら100円ショップへ移動し、塗装に必要な道具を購入。
 翌週に迫った「完成」に期待しつつ帰路についたのでありました。
 ポテチ氏に「塗装用のガン」の取り扱いについて説明を受ける。そうです、ハケ塗りではなく、吹きつけて塗装しようということになっていたのであります。この方が大きな面 積を塗るときには、きれいに早く仕上がるという画期的な道具の提供を受け、さっそく塗料の調合。下塗り用のサフェーサーと薄め液を混合し、ガンのタンクへ入れる。「それでは、失礼して、お先に…」と筆者の艇に吹き付けてみる…「おおっ、お見事、お見事」。下地の白がどんどん塗られていく。調子に乗って「しゅーしゅー」と吹き付けていると、出が悪くなってきた、んっ??? エアーは出ているのだが塗料が出ない、んっ???
 ポテチ氏にヘルプを頼むと「塗料が濃すぎるようです。もう少し薄くしてください」とのこと。薄くして、作業再開。今度は、詰まることもなく順調に進むかに思えたのだが…、吹きつけに影響しないようハウスの扉を閉じて風を遮断していたため、室内の空気が悪く「シンナーに気ー付けて船塗んなー」「わかりましたー、親方〜」(スネークマンショー知ってます?)などと冗談を言っていられる状況ではなく、作業は換気のため度々中断。1日で終わらせようと思っていた塗装は、2日ががりになってしまったが、何とか完成。
 塗装前の「箱船」の面影はなく立派なカナディアンカヌーになりました。
 全員で万歳三唱。「完成祝いの宴」へ突入していったのであります。
●ガンネルを黒く塗って完成
●車に乗せると…

●イメージステッカーを貼って準備万端

●カヌーらしくなりました

●記念撮影

●そして、進水っ!

●家族と、プリティ仲野氏

●テストパイロットによる性能試験

●落書きタイム、佐波まお先生

●似顔絵に大満足の筆者

●祝宴…

●そして大虎を生産してゆく

●りゅぅげん氏作
  「虎の穴イメージステッカー」

 そして進水式…。今年度は、「カヌー開き」もまだ執り行っていなかったので「2002カヌー開き&進水式」と銘打って、仲間に開催を連絡する。
 「他人の沈は、蜜の味」…カヌーをする人なら誰もが一度は、思うこと。「進水式」ではなく「浸水式」になるのでは…という前評判が立ち、当日は、「絶対何かが起こる…」と期待を胸に集まりました総勢40名。
 まずは、主催者の挨拶「えー本日は、お忙しい中お集まりいただきまして…云々」。続いて、濡れる前に参加者記念撮影。この日のために準備した、札幌在住のメンバーりゅうげん氏制作の「外遊び虎の穴イメージステッカー」を船体に張り付け、いよいよ進水っ!! 
 まずは、水に浮かべてみる。「おおっ、浮いたーーっ!」と、歓声が上がる。そして、プリティ仲野氏と、筆者は、艇に乗り込み、進水を祝うクラッカーの音の中、 記念すべき一漕ぎ目を、ぐいっと入れた。、カヌーは静かに水面を走り出す。
  「完成までの行程が、一つ一つ思い出される。去年の12月から作り始めて半年、艱難辛苦を乗り越えよくぞ此処まで参られた…」なーーーんてことは、一切思わず、ひたすら「水漏れはないか」と、艇の内側を見回したりしていたのであります。(汗)
 岸から声がかかる。「浸水していませんかー?」「大丈夫でーーす」とこたえると…一同より「なーんだーー」と、有りがたい祝福の言葉をいただいた。
 水漏れをクリアしたカヌー、第2の心配はその性能。手づくりカヌーで起こりやすい失敗、それは「不安定と直進性と回転性のバランス」だ。筆者は、基本的にカヤックの人なので、性能テストをカナディアン乗りの又三郎さんと、べっぽさんにお願いする。テスター2名の評価は…。
 「安定性・直進性ともに良好です」「傾ければ回転性が増します。基本的に回転性が強くないので、初心者向きです」と、上々の評価をいただいた。
 「何か起こるのでは??」と期待していた読者のみなさん、ごめんなさーーい。進水式で撃沈、または分解などが起こると話的にはおもしろいのですが、ちゃんとしたカヌーになってしまったので仕方がないのであります。
 
 ここで、製作を供にしたプリティ仲野氏からひと言…。
 
 塗装が終わってから進水式まで、待ち遠しい日々を過ごしていましたが、こうして無事に進水式を向かえることができて、何とも言えない「感無量 」の気持ちです。
「本当に浮かぶの?」「1万円で出来るの?」「ベニヤ板? マジ?」「命知らず!」…まあいろいろなことを言われましたねぇ〜。普段なら何でも興味津々の我が家の子供たちも今回は「本当に乗れるの? このカヌー……(長女:談)」とちょっと及び腰。なんと言っても、製作者本人が一番不安だったりして…。
 そんなこともあって、「浮かぶだろう」とは思っていつつも、湖水に浮かべて乗る瞬間が不安と期待のピークでしたね。「水が入ってきたりしないかなぁ」「乗った瞬間にひびが入ったりしないよなぁ」「沖で分解したらどうしよう? ま、ライフジャケット着ているから良いか…」とか。
 でもそのまま漕ぎ出すと「おお! 浮かんでる! ちゃんとまっすぐ進んでるー! しかも操作が軽い!!」と怒濤のように感動が溢れ、同時にこれまでの製作過程やら前述のありがたい(!?)ご意見をいただいた方々の顔が走馬燈のように浮かんできました。
 岸から見ていた皆さんからは、冷静に乗っていたように見えたかもしれませんが、「やったー! ちゃんと『カヌー』だぞぉ〜!」と心の中で雄叫びをあげていた私だったのです。
 自分一人での「進水」が終わったところで、次は「早く乗りた〜い!」と待ちかねている子供たちを乗せての進水。内部の構造上、若干の狭さを感じるものの、子供2人なら楽々乗れますし、しかもかなり安定しています。これなら家族でも十分楽しめそうですし、船体が「ベニヤ板」で出来ていることを忘れないで大事に乗れば、長く乗れそうです。ま、補修作業もまた楽し…ですしね。それにしても、今回の「1万円カヌー」は、1人の力では到底できるものではなかったですし、たくさんの方々の「力」があってこそ出来たものですよね。「四次元ポケット」のように数々の道具と技の提供をいただいた、「製作所」オーナーのポテチさん、「悪魔のお誘い」をいただいた居酒屋浜ちゃんオーナーはもちろん、毎回「差し入れだよぉ」「ちょっと応援に…」と顔を出して頂いたお仲間の皆さん、本当にお世話になりました。
 このご恩は、2艇目を造ってお返しすることに…。
 いや、ホントに。今回はいわゆるカナディアンカヌーを造ったわけですから、今度は「ファルトボート」を造る!…なんてどうでしょう。もちろん、組み立て式です。アルミパイプとキャンバス布とかで、できませんかねぇ??
 どこかに「1万円で造るファルトボート」なんて本があったら、チャレンジしましょう。そもそも1万円で造れるかどうかわかりませんけど…。

▼ プリティ ▼

 みなさまの大きな期待を裏切りつつ無事進水を終え、岸に戻り船体への落書きタイム。帯広在住の漫画家「佐波まお先生」に、筆者の似顔絵入り祝辞を書いていただき大満足。しかしいつの間にか船名が「回天」になっていました。(汗)大騒ぎして落書きを済ませ、毎度の事ながら祝宴へ突入っ! いつも通 りの展開になっていったのであります。


塗料調合に大活躍。
外遊び便利道具
「蓋付きカップ」
 100円ショップで見つけた便利道具のご紹介。今月は「蓋付きカップ」
 注ぎ口と、目盛りが付いていたので、塗料調合に大活躍。
蓋がホコリと、臭いを防いでくれたので更に、GOODでした。
100円ショップは侮れません。

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