博物館法という法律では「博物館」を定義して歴史、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管し、それを展示して、一般の人々に観覧する施設としている。
人々が展示してあるものを見たり、聴いたりして、面白い、珍しい、愉しい、美しい、心地良い、不思議だなどと感じることにより、新しい知識を得たり、刺激や感動を受けたりするところといってもよい。
博物館の起こりは、エジプトのアレクサンドリアに創設された、ムーセイオンといわれている。ムーセイオンには動物園や植物園が付設され、学芸に関する資料が収集されていた。
昔から人間はものを収集する習癖があるようで、美術品や珍しい鉱物、植物、動物、昆虫、蝶、コイン、切手等あらゆる分野に渉(わた)って集める人々が知られている。収集したものを密かに自分だけで愉しむ人もいるが、同好の士に見せ合ったり、多くの人々に公開する人々も現れてきた。
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ロンドンの大英博物館はハンズ・スローン卿の収集品を元にして、1759年に博物館として公開された。パリでは1793年にルーブル官の王室美術品が公開されている。
我が国では、古くから寺院の仏壇や神社の宝物殿に彫刻や絵画が奉納されたり、集められたりしており、それらが民衆に観賞されていた。
1867年(慶応3)、パリで開かれた第5回万国博覧会に参加した折、諸国の博物館に刺激を受け、日本でも展覧会が開かれるようになり、1871年には大学南校で収集した物産が公開された。やがて、湯島聖堂が物産の陳列所と定められ、1872年には湯島聖堂で、第6回万国博覧会へ出品する収集品の博覧会が行われた。その10年後には国立中央博物館が上野に創設されている。
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