外国での塩の製法
日本では海水より塩を製造しているが、外国では岩塩を利用するところも多い。ポーランドのクラコウの南にビエレチカという塩坑があるが、ここで採られた高さ1.2m、直径80cmの円筒状の岩塩塊が展示されている。
ビエレチカは私も訪れたことがあるが、地下100m程のところに、岩塩採掘坑が縦横に走っており、大広間の円柱や壁には彫刻やレリーフが作られていた。レリーフの後ろからライトを当てると、岩塩の褐色の結晶を通して、光が像を浮き上がらせていた。坑内のあちこちに岩塩の像が作られており、観光スポットになっている。
雨が少なく、日照時間の多い地方では、乾期に鹹水(かんすい)湖から塩を採るところが多い。中国のトルファンの近く、海抜マイナス180mの愛丁湖がある。真夏にここを訪れたことがあるが、本来水のあるべきところは土埃(ほこり)と結晶化した塩の混じった平地しかなかった。周りには植物がなく、塩を加工してソーダを作る化学工場が一軒建っているだけだった。
中国西域には鹹水湖が多く、塩分が結晶化して岸を埋め、遠くから見ると雪が降ったように見える湖があった。
冬季オリンピックの行われたユタ州にはソルトレークがあり、州都の名前もこれに由来している。ユタ州にはモルモン教徒が多く、モルモンステーツの別名がある。モルモン教徒は勤勉なため、この州のモットーはindustry(勤労)であり、愛称はbeehive
state(蜂の巣の州)である。
ソルトレークは遠浅の湖で、30%近い塩分を含んでおり、イスラエルの死海と同様に、泳げない人でも水に浮くことができる。湖岸の砂や小石には塩の結晶が付着しており、泳いだ後は水を浴びないと皮膚を痛めるため、各所にシャワーが設置されていた。
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