ローマ2
ローマには美術館や博物館が多く、どこを訪れてもその数の多さに圧倒されてしまう。数々の作品の中で、私の好きなものはボルゲーゼ美術館にあるベルニーニの作品である。「ダヴィデ」「アポロとダフネ」「プロセルピナの略奪」はいずれも彼の作品であるが、中でも「アポロとダフネ」と「プロセルピナの略奪」はベルニーニの最高傑作といえるだろう。
前者はアポロに追われて逃げるダフネが、樹木に変身する一瞬を捉えて彫像にしているのだが、大理石がまるで柔らかい可塑性の素材のように細密に、髪の毛や樹木の葉の一枚一枚まで細かく彫り込まれている。後者ではプロセルピナをわし掴みにしたケンタウロスの腕と手指が、プロセルピナの豊満な裸体に強く食い込み、今にも皮が破れそうに緊張した姿は、大理石という素材を少しも感じさせない程である。
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イタリアのバロックの画家にカラヴァッジョがいる。1571年にミラノに生まれ、80年代末にヴェネツィアとフィレンツェに滞在し、1593年にローマを訪れている。
闇に浮き上がる群像を、複数のモデルを使って再現し、動きのある表現で描いている。カラヴァッジョは無頼の画家であり、同性愛者ともいわれ、喧嘩や暴力行為が絶えず、ついに殺人事件を起こしてローマから逃亡している。
ポポロ広場の一隅にあるサンタマリア・デル・ポポロ教会には「ペテロとヨハネの殉教」があり、パンテオン西側のサンルイ・ジ・デイ・フランチェシ教会には「マタイの召令」の壁画がある。
「ダヴィデとゴリアテ」は切り取られたゴリアテの首を持つ少年ダヴィデが描かれており、ボルゲーゼ美術館にある。「七つの慈悲」はナポリのミゼルコルディア聖堂にあるが、飢えたる者、渇いた者、旅人、裸の人、病者、獄中の人、死者の各々に対する慈悲を表した絵で、光と闇の対比の中に、天から降りる天使と7人の群像が描かれている。
「バッカス」はウフィッツィ美術館にあり、酒の神バッカスが果物と酒瓶を前に、酒盃を手にしたもの憂い少年の姿で描かれている。 |