子どものために活動するのは「天職」です
連載第31回
●北本善一さん。

●7月の川遊びメニューのスナップ。士幌を流れる居辺川(おりべがわ)の岸で魚釣り。


●9月の科学で遊ぶアウトドア実験。空気をいっぱい入れた「農業用ビニール」で「鯨」を作って遊ぶ。

●1月の雪遊び。かまくらを作る。北本さんいわく「一緒になって遊んでいる感じですね」。


●夏休み中の特別教室・キャンプには会員以外でも参加できる。薪割りの見守り中。うまく割れるかな?


北本 善一さん
マンガ家・イラストルポライター


きたもと・ぜんいち 1950年2月士幌町生まれ。19歳のときからマンガ家を目指す。郵便局でのアルバイトを経て、21歳のとき科学マンガで本を出しデビュー。東京で活躍し、一時会社を立ち上げ5年間活動するが、8年前の1994年に士幌町に戻る。パノラママンガ展開催をきっかけに北海道新聞の十勝マンガ探検隊によるマンガルポを連載。現在、地元の士幌町で子どもの遊び方教室「創造塾」や「マンガ・イラスト塾」を、帯広でも「マンガ・イラスト塾」を開講し、子どもたちの心の育成に力を注ぐ。ほか「中士幌を楽しむ会」会長、「帯広デザイナーズ協会」会員。

 


●工房「あとりえ・ぜん」河東郡士幌町中士幌西2-76 TEL 01564-7-4266



 4年前の99年、隔週で学校の週休2日制が始まり、休日を過ごす受け皿が町にないことに不安を抱いていた北本さん。職業柄、子ども達と接する機会は多い。今の子ども達の状況は、外で遊ぶことが欠けている、異年齢が混ざり合って大勢で遊ぶことがない、工夫することが少ない。そう感じ、99年自ら「創造塾」を立ち上げた。子どもの「心」を育てようと活動する「創造塾」の内容や北本さん自身の思いをうかがった。

●創造塾とは?

 「創造塾」は工夫したり、自然の中で仲間と過ごして遊んだりする教室。異年齢の子ども同士や地域の大人と交流しながら、自然体験や工作を通 じて知恵、技を身につけ、創造力を引き出すきっかけにしたいと考えている。また、「遊び」そのものが、社会で生きていくための大切な訓練ととらえている。
 「塾では、聞かれたらアドバイスはしますが、こうしましょう、とは教えません。ほったらかす。この点は親に理解されていないと、やめる子どももいますね」と北本さん。 子どもの遊びの世界に大人が入っていくのはよくないという、長年の経験から得た確信がそこにはある。ちょっとした壁に当たったときに、すぐ手をさしのべたら「工夫」は生まれない。
 「親も用事や仕事で忙しい。テレビゲームばかりでは人間関係が悪くなるとわかってはいても、子どもは家にいてもらった方が安心できる。兄弟姉妹もいない家庭では、上下関係も身につかず、すべて自分の思い通 りになると錯覚してしまいます」。創造塾は単に「預ける場所」ではなく、家庭同士のつきあいを増やす目的もあるという。
 創造塾では年間のメニューがあらかじめ決められている。毎月第4土曜日が活動日で、年会費5,000円。毎回500円でもOK。メニューによって延長もあるが、9時〜12時の間で、士幌町内の施設や自然の中で遊ぶ。

●右脳を鍛える「マンガ・イラスト塾」


 一方、本業を生かし「マンガ・イラスト塾」も実施。従来の士幌教室に、このたび帯広教室を加え、より幅広く活動を始めた。 「マンガは、監督であり、脚本家であり、演技者でもなくては描けない。創造力をつかさどる右脳を鍛える手段として、子どもにはとても身近なものだと思います。絵は自己表現。メッセージを持たせることが大事です」。
 北本さんから見れば、投稿イラストなどで、絵のまわりにいっぱい説明文を入れているのはナンセンス。絵の力だけで思いを伝えなければ「自己表現」にならないという。  「自分で言うのも何ですが、高校生ぐらいのときから子どもと友だちになるのが得意。子どものために何かできること、マンガを描くこと、これは天職だと思っていますよ」と笑った。

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