トムラウシの自然を大切にして暮らしを楽しみたい
連載第27回
●ウッディな造りの「山の交流館とむら」。地域では簡易郵便局の役目も担っている。ここでは希望があれば、登山や釣り、ラフティング等の自然体験、農業体験、農産物加工実習体験(ソーセージ作りなど)を地域の人がガイドしてくれる。事前に予約のこと。

 
●展示コーナー・受付では、地場産品やお菓子のほか生活用品の販売も。

 
●隣接して林の入り口にログのコテージが3棟建ち並ぶ。内1棟は、車イス専用スロープ付き。5人用だが、寝具は6セットある。人数が多くても使用料は1棟1万円。調理器具、TV、冷蔵庫、ガスレンジ、ユニットバス完備。

 
●コテージの北側の林は水辺に面しており、秋には紅葉が楽しめる。この中に3張りのテントサイトがある。バーベキューハウス併設。

 
●交流館裏手にある五右衛門風呂。「自由に入ってもらってかまわません」。焚き方がわからない人は聞いてみよう。

 
●伊東教雄さん、琢美さん夫妻。

 
●焼きたてのチーズパンは、売り切れることの多い人気の品。1個700円。


「山の交流館とむら」より、人気のパンを3名様にプレゼント。
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さん
山の交流館とむら管理人

いとう・のりお 1964年(昭和39年)神奈川県川崎市生まれ。東京で料理人として働いていたが、98年(平成10年)「自然の中で子どもを育てたい」と考え、子どもの山村留学を機に家族全員でトムラウシへ。当初は地元新得町のホテルで働くが、1年半前に「山の交流館とむら」が建設され、地域で運営することが決まったため、管理業務を引き受けることに。以後、地域の人の力を借りながら運営に当たる。現在、中学2年生の双子、小学6年生、4年生の4人の子どもと奥さんの琢美さんとの6人暮らし。

●山の交流館とむら
 北海道上川郡新得町字屈足トムラウシ337番地
 TEL 01566-5-2000
 施設/9:00〜17:00
    (研修室は22:00まで使用可能・要予約)
 食堂/11:30〜14:00(朝と晩は要予約)



 新得町の市街地から北へ40km。「トムラウシ地区」は北海道の重心点で、道内ではもっとも海から遠い地域だ。緑豊かな大自然での体験や研修を通 じて、地域住民と交流を図る目的で誕生したのがここ「山の交流館とむら」。室内に研修室が2室(ひとつは和室)、そば打ちなどができる農産物加工実習室が1室、おみやげやお菓子等が買えるコーナーがあり、外にはコテージ3棟、バーベキューハウス1棟、キャンプサイト3張り分を設置。遊び心のある観光客には「五右衛門風呂」も備えている。昼は一般 食堂だが、要予約で泊まり客への食事の提供も行っている。「管理面 でやることはいっぱいあるけど、自然に囲まれて気持ちいい」という伊東教雄さんと琢美さんご夫妻に、トムラウシでの暮らしぶりをうかがった。

自然の中で暮らしたい

 子どもを自然の中で育てたい、最初はその思いからだった。家族で暮らすなら、丸っきり知らないところより少し知っている方がいいのではと、選んだのが新得町。奥さんの琢美さんはもともと新得町の出身だ。
 たまたまトムラウシで山村留学を実施していることを知り、1998年早速家族で移り住んできた。あれから4年、アウトドアや農業体験など、都会では味わえない経験を満喫している。

交流館の管理人として

 都会に暮らしていた頃は、一時間半も満員電車に揺られ職場まで通 っていた。それを考えるとトムラウシから新得のホテルまで40分かけて通 うことは苦にもならなかった。2年半ほどホテルの厨房で働いた頃、住んでいるトムラウシ地区に自然体験交流施設「山の交流館とむら」の建設の話が出てきた。だがその運営費は新得町で全額補助というわけにはいかないため、地域の人たちで管理できないかと持ちかけられた。コテージの使用料だけでは運営は無理だった。食堂も併設して、やってみようかと決心した。
 
国立公園の真ん中で

 トムラウシは大雪国立公園の中にあり、豊かで壮大な自然に囲まれている。その素晴らしさに引かれてここの住民になった人は少なくない。「意外と外からやってきた人が多い地区なんです」と琢美さん。それだけに古くからの取り決めもなく、新住民にとっては住みやすい地区だという。「ここの地区の良さをもっと多くの人に伝えたい」と夫婦で語る。
 
手作りパンを提供

 食堂の料理を一手に引き受ける伊東教雄さんは、昨年よりパンを焼き始めた。「自分が外の仕事をしている間も、食の提供ができるので」ということからで、このパンが好評だ。1個700円。直径25cmもあろうかという大きめのパンには、チーズがたっぷり入っている。「普通 だと思います」とひょうひょうとした答えが返ってくる。パンを焼く機械はそんなに特別 なものではない。一度に焼けるのは2個。一日にせいぜい20個で、4時間もの時間を費やす。何気なく焼いているようで、実はていねいに焼いているからこそおいしい。売り切れも必至なので、ほしい人は電話確認してから行くといいだろう。
 
家族で切り盛り

 ここは、夏はもちろん、秋も見事な紅葉が楽しめるため観光客でいっぱいだ。さらに奥にはトムラウシ温泉があり、冬場は湯治に来た人が泊まりきれずにコテージを借りることもある。また冬は、鹿撃ちのハンターが訪れてコテージを使う。通 年お客さんがやってくる。忙しいシーズンには、子どもたちも手伝いに駆り出される。掃除、薪割り、食事の準備…管理業務は毎日のことなので、子どもとどこかへ遊びに行く機会は少ない。「でも子どもが手伝ってくれて本当に助かる」と教雄さん。ここトムラウシでは「暮らし」の中で子どもとのふれあいが生まれているようだ。


※文中の「さん」のお名前はパソコンでの文字がないため「伊東教雄さん」とさせていただきました。


帯広市から車で約1時間30分
新得市街から車で約40分

 

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